整理しているつもりなのに、いつの間にか物が増えてしまう、また両親の家に不用品がたまっている、処分をしたいけれど了承してもらえない、といった問題を抱える人が増えて来ています。なぜ不用品を人は溜め込んでしまうのか、その理由について詳しく見ていきましょう。

不用品を溜め込んでしまう理由

1.物を捨てると不安になる

他の人にとっては不用品であっても、それを所有している人にとっては大切なもの、という認識があります。そのため物がどんなに古く、破損していても捨てることができません。さらに、捨てるということが「不安」につながるため、捨てようとしないことも溜め込んでしまう原因です。その不安には2つあります。

・思い出も一緒に捨ててしまうことになりそうで不安

一つ一つの物に対して、執着心が強い人が抱えがちなのが「物を捨てるとその物の思い出も捨ててしまう」と不安になるケースです。大切な人にもらったものや、アルバムなど、思い出のあるものが捨てられません。

・生活に対する不安がある

高齢の方に多いのがこちらのケースです。戦争や災害などで生活が苦しいなど節約しなければいけなかった経験から、もったいなくて捨てられなかったりします。また過去の経験を懐かしんで、思い出の品に心が入ってしまい、現状から抜け出せない人もなかなか物を捨てることができません。今の生活に不安がある人ほどその傾向があります。

2.片付けることが苦手

小さい頃から片付けが苦手だった、また片付けに対して「~しなければならない」といった思い込みが強い人はなかなか物を捨てることができません。自分がしなくても誰かが片付けてくれていた場合にも、「どうやって片付ければいいのか」が分からないので、捨てずにそのまま所有し続けてしまいます。

3.捨てる方法がよく分からない

自分でゴミを捨てたことがない人に多いのがこのケースです。また夫婦の場合、妻がゴミ捨てを担っていたので、夫はゴミの仕分けや処分の仕方を知らないまま、妻が亡くなってしまった後自分ではできないということも。また自治体によってもゴミの処分方法が厳しくなっており、ゴミを処分しそびれたまま溜め込んでしまうといったこともあります。

4.病気によるもの

今までは片付けることができていたのに、急にできなくなった場合には、以下の病気の可能性もあります。

・認知症

認知症は脳の働きの低下によって引き起こされる病気です。いくつか症状がありますが、物忘れや今いた所が分からなくなる、今までできていたことができなくなる、段取りよく物事を進められなくなるといったことが起こります。環境やその人の元々の性格などにより、症状は様々ですが、物を捨てられることに恐怖を感じたり、「盗られた」と思い込んだりすることもあります。

・ADHD

注意欠陥・多動性障害と呼ばれる神経発達症や行動障害のことです。子供の頃から症状があることがほとんどですが、大人になってから分かることもあります。不注意・多動性・衝動性の3つの大まかな症状がありますが、一つのことに集中すると他のことができなかったりじっとしていられないため、片付けができないという症状として現れることもあります。

・溜め込み障害

遺伝や性格、また強いストレスを受けた時などに現れるのが溜め込み障害です。捨てる、手放すことに大きな苦痛を感じるため、物を捨てることができません。また過剰なほど買い込んだり、無料の物や人の捨てたゴミを「かわいそう」といって持ち帰ることもあります。症状は11歳~15歳頃から現れ、10年周期で悪化し慢性化していきます。溜め込み障害の治療は難しく、時間がかかります。早期に発見し治療に当たることが必要です。